今回はBlenderを使ったLINEアニメーションスタンプの作り方を解説します。
無料の3Dアニメーション制作ソフトとして人気のBlenderで、あなただけのオリジナルスタンプを作ってみませんか?
私もBlenderでスタンプを作り、実際にストアで公開しています。
本記事では初心者の方でも簡単に挑戦できる方法を、手順ごとにわかりやすく紹介します!
Blenderで制作したLINEアニメーションスタンプの作品例
下の動画は私がBlenderで作成したLINEのアニメーションスタンプを一つにまとめた物です。
文字入れもBlenderでやっており、このスタンプで外部ツールを使ったのはAPNG形式への変換(詳細は後述)のみです。
注意!再生すると音が出ます!
LINE STORE:
トイプードル マック -3D- ≪冬≫
LINEアニメーションスタンプの概要とファイル規格や制限について
LINEアニメーションスタンプは、動きがあることで静止画よりも視覚的なインパクトが強く、トークをさらに楽しくしてくれます。
例えば、愛犬が飛び跳ねたり、キャラクターがウインクするようなスタンプが作れるんです!
そのため、人気が高い反面、作成時には守るべき規定があります。
この記事では、規定をわかりやすく説明しながら、Blenderでの制作手順も紹介します。
LINEアニメーションスタンプで使われるAPNG形式とは?
LINEアニメーションスタンプは、APNG形式(アニメーションPNG)に対応しています。
この形式は、背景の透明性を維持しつつ、高画質で滑らかなアニメーションを表現できるのが特徴です。
また、静止画のPNGとの互換性があるため、初心者にも扱いやすい点が魅力です。
LINEアニメーションスタンプのサイズや長さの規定
LINEアニメーションスタンプを制作する際には、以下の規定を守る必要があります:
- サイズ: 最大320×270ピクセル(横/縦のどちらかが270px以上必要)
- アニメーションの長さ: 最大4秒以内
- ループ数:1スタンプあたり1〜4回
- フレーム数: 最大20フレーム(ファイルサイズとのバランスが重要)
- ファイルサイズ: APNGで最大300KB
これらの規定を守ることで、LINEの仕様に適したスタンプを作成することができます。
BlenderがAPNG形式のLINEスタンプ制作に適している理由
Blenderは無料で利用できるうえ、豊富なアニメーション機能を備えた3D制作ソフトです。
特にLINEアニメーションスタンプの制作では、細かい動きの表現や高いデザイン自由度が求められますが、Blenderならその全てに対応可能です。
さらに、fps(アニメーションのフレーム数)も柔軟に設定できるため、滑らかな動きを実現できます。
唯一の弱点はBlenderから直接はAPNG形式のファイルを出力できないことです。
ただし、完成したアニメーションを画像シーケンス(PNG形式)としてエクスポートし、専用ツールでAPNG形式に変換することで、LINEの要件を満たすスタンプを簡単に作ることができます。
Blenderを使ったLINEアニメーションスタンプ制作の基本手順
それでは実際にBlenderを使用してLINEアニメーションスタンプを作っていきましょう。
制作を始める前に、以下のツールを準備してください:
Blender
ご利用中の好きなバージョンで大丈夫です。
変換ツール「アニメ画像に変換する君」
Blenderで出力した画像シーケンスをAPNG形式に変換するために必要です。
公式サイトから事前にダウンロードして、インストールしておきましょう。
LINEアニメーションスタンプのガイドラインに適合しているかも自動でチェックしてくれ、APNGの容量最適化機能もついているのでとても便利です。
ペイントツール(CLIP STUDIO PAINTなど)
スタンプの文字をBlender以外で入れたい場合に必要です。
全てBlenderでやる場合は必要ありません。
Blenderの初期設定
まずはBlenderでLINEアニメーションスタンプを作る為の初期設定を行いましょう。
Blenderを開き、新しいプロジェクトを作成します。
初期のデフォルトシーンが不要な場合は削除しましょう。

LINEスタンプの規定サイズに合わせて画像フォーマットを設定します。
特にこだわりがなければ最大サイズの320×270ピクセルがおすすめです。

LINEアニメーションスタンプで一番大事なのがフレームレート(fps)の設定です。
この設定で動きの滑らかさが変わりますので最初に決めましょう。
fpsとは、1秒間に使う画像の枚数を意味します。
例えば、10 fpsの場合、1秒のアニメーションを10枚の画像で表現する仕組みです。
簡単に言えば、fpsを高くすると動きが滑らかに、低くするとカクカクした感じになります。
ただし、LINEスタンプでは1スタンプあたり最大20フレームなので、設定を工夫して滑らかさと容量のバランスを取るのがポイントです。
Blenderのデフォルトは24fpsですので、1秒間のアニメーションを24フレーム(24枚の画像)で表現します。
しかし、LINEのアニメーションスタンプで使えるフレーム数は、1個あたり5~20フレームです。
ですので、デフォルト設定では規定をオーバーしています。
LINEアニメーションスタンプの上限は最大4秒、20フレーム。
その為、アニメーションのループを考えると、5、10、20という区切りのいいfpsが望ましいです。
fpsの設定により、Blender側で作れるアニメーションの上限も決まりますので、以下を参考に設定してください。
fps | 1秒当たりの画像枚数 | 作れるアニメーションの秒数 |
---|---|---|
5 | 5枚 | 4秒 |
10 | 10枚 | 2秒 |
20 | 20枚 | 1秒 |
ちょっとややこしいのですが、以下のようなアニメーションスタンプは作成可能です。
- Blenderで10fps、2秒の総フレーム数20のアニメーションを作成
- 『アニメ画像に変換する君』でAPNGへ変換する時に2回ループさせ、4秒のスタンプを作成
この場合、総フレーム数が40になるように思えますがループ分のフレーム数はカウントされません。
同じ理屈でBlenderで10fps、1秒のアニメーションを作成し、『アニメ画像に変換する君』で4回ループさせるLINEスタンプも作ることができます。
5、10、20fpsは一覧には表示されませんのでフレームレートから『カスタム』を選択して自分で数字を入力して下さい。

PNGファイルを出力するフォルダも指定しておきましょう。
出力にあるフォルダのマークから設定できます。
設定は以下のようになります:
- ファイルフォーマット:PNG
- カラー:RGBA
- 色深度:8
- 他はデフォルト
間違えやすい点として、カラーはRGBAにしておかないと、次に設定する背景の透明が有効にならないので注意してください。(RGBAのAは透明度(Alpha)の意味です。)
色深度をあげた方が沢山の色が出力できますが、その分PNGファイルのサイズも大きくなります。
LINEアニメーションスタンプの解像度、上限ファイルサイズを考えても16にするメリットはないので、8のままで大丈夫です。

LINEスタンプでは背景は透明にすることがほとんどだと思いますが、Blenderのデフォルト設定では背景が透過されません。
PNG画像の背景の透過はBlenderのレンダー設定(カメラマーク)から行えます。
フィルム内にある『透過』にチェックをいれましょう。
BlenderでLINEアニメーションスタンプ用アニメーションを作成する方法
Blenderでのアニメーション制作の全てをこの記事で説明するのは無理です。
その為、LINEのアニメーションスタンプを作る時のコツに絞って紹介させていただきます。
Blenderのアニメーションが全くわからない方向け
私は以下の書籍でBlenderアニメーションの基礎を学びました。
対象バージョンは古いですが4.X系でも使える内容となっていますよ。
fpsを考えてキーフレームを挿入する
キーフレームはfpsを考えて挿入しましょう。
例えば10fpsで1秒のアニメーションを作るなら、開始フレームは1、終了フレームは10になります。
5fpsでの1秒のアニメーションは開始フレームは1、終了フレームは5になります。
ここでのキーフレームがズレてしまうと、あとが大変です。
くれぐれも間違えないようにしましょう。
スタンプのアイコンになる絵を1フレーム目に持ってくる
LINEのアニメーションスタンプでは1フレーム目がそのスタンプのアイコンとして表示されます。
ですので、文字などが入る場合、その場面を1フレーム目にもってこないと何を表現したスタンプなのかわかりません。
私はこれを知らずにアニメーションを作成してしまい、最後のフレームをリネームして最初にもってくるという力業で対応することになりました。

BlenderからAPNG形式を作る方法|エクスポートと変換手順
Blenderでのアニメーション制作が終わったら、BlenderからPNG画像を出力します。
そして、その連番画像をLINEのアニメーションスタンプ用にAPNG形式に変換します。
Blenderから連番画像としてエクスポート
『PNGファイルの出力設定』でPNG形式で出力する設定は済んでいます。
ですので、画面上部の『レンダー』から『アニメーションレンダリング』を押せば、指定したフォルダにPNGファイルが連番で出力されます。

Windowsの場合、たまに出力した背景が黒くなっている場合がありますが、透過の設定が正しくできていれば問題ないので無視して大丈夫です。
「アニメ画像に変換する君」を使ってAPNG形式に変換
Blenderで出力した連番画像を「アニメ画像に変換する君」を使ってAPNG形式に変換します。
『アニメ画像に変換する君』では、Blenderから出力した連番画像をドラッグ&ドロップするだけで、簡単にAPNG形式に変換できます。
また、fpsやループ数も設定可能なので、LINEスタンプの規定に合わせて調整してください。
フレームサイズやアニメーションの秒数など、LINEアニメーションスタンプの規定に反する箇所があれば画面の右上の文字が赤くなるので、修正が必要になります。
WEBブラウザで完成したAPNGを確認
作成したAPNGはWebブラウザでプレビューできます。
「アニメ画像に変換する君」で作成したファイルをWebブラウザにドラッグ&ドロップして、アニメーションの動きを確認してみましょう。
BlenderでのLINEアニメーションスタンプ制作時の注意点と対策
Blenderを使ってLINEアニメーションスタンプを制作する際に、私が躓いた点を注意点として共有します。
基本的にはファイルサイズとの闘いになると思いますので、APNGの容量を減らす為の方法となります。
APNGのファイル容量は圧縮で減らせる
作成したAPNGの容量が300 KBを超える場合、LINEアニメーションスタンプとして登録できません。
この場合は圧縮ツールを活用して容量を減らしましょう。
特におすすめなのが『tinypng.com』です。
簡単な操作でAPNGのサイズを40~50 %削減できます。
アニメーションで使う色は少なくする
APNGのファイルサイズは使用している色が多くなるほど増加します。
Blenderでは細かい色の設定が可能ですが、やりすぎるとAPNGに変換時のファイルサイズがとんでもない容量になります。
APNGを圧縮してもファイルサイズが300KBを超えてしまう場合は、使っている色を減らしてみましょう。
Blenderではマテリアルの入れ替えて対応できるので、この辺りの対応がしやすいですね。
背景を透過していない場合は、背景を透明にすることでも容量を削減できますよ。
Blenderでのアニメーションは最小限にする
APNGのファイルサイズは使用している画像の枚数が多いほど増加します。
ですので、短くても効果的な動きを意識してアニメーションを作ることが大事です。
凝った動きを作っても容量を超えるとLINEスタンプには登録できないので、注意してください。
Blenderで作成したスタンプをLINEクリエイターズマーケットで公開しよう!
Blenderで制作したAPNG形式のスタンプが完成したら、次のステップはLINEクリエイターズマーケットへの登録です。
以下の手順を進めれば、あなたのオリジナルスタンプが世界中で使われるようになります!
1. LINEクリエイターズマーケットに登録する
LINEクリエイターズマーケットへの登録手順を以下に説明します。
- LINEアカウントの準備: LINEクリエイターズマーケットにアクセスし、LINEアカウントでログインします。
- クリエイター登録: 名前や住所などの情報を入力して登録を完了します。
2. 新しいスタンプセットを作成
新しいスタンプセットの作成手順を説明します。
- 新規スタンプセットを作成: タイトルや説明文、カテゴリを入力します。
- 価格設定: LINEが指定する価格帯から販売価格を選択します。
3. スタンプ画像をアップロード
Blenderで作成したAPNGファイルをアップロードします。
- メイン画像: 240×240ピクセルのサムネイル画像
- スタンプ画像: 最大320×270ピクセル、300KB以下のAPNG形式
- トークルームタブ画像: 96×74ピクセルのPNG形式
メイン画像はLINEスタンプショップで表示される画像です。
撮影済みのPNGファイルをリサイズするか、新しくBlenderでレンダリングしましょう。
トークルームタブ画像はトーク画面でスタンプを選ぶ時にタブに表示される小さい画像です。
こちらも既存の画像をリサイズするか、新しくBlenderでレンダリングしましょう。
4. 審査の申請と公開
スタンプを公開するための手順です。
- 審査を申請:必要な情報をすべて入力し、LINEに審査を依頼します。
- 公開と販売開始: 審査が通過すると公開され、販売が開始されます。
まとめ|Blenderで個性あふれるLINEスタンプを制作しよう
Blenderを使えば、誰でもオリジナルのLINEアニメーションスタンプを簡単に作成できます。
動きのあるスタンプは、感情やメッセージを豊かに伝える素晴らしい表現方法です。
本記事を参考に、ぜひあなたもLINEクリエイターズマーケットで作品を公開し、世界中の人と喜びを共有しましょう!
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