Blenderでアニメーションやリギングをしていると、「ポーズモードでボーンを動かしても左右対称(X軸ミラー)が効かない!」という場面に出会うことがあります。
左右のボーンを同時に動かせるはずなのに片側しか反応しないと、作業効率が大きく落ちてしまいますよね。
まず基本として、ポーズモードの「ポーズオプション」でX軸ミラーにチェックが入っているかを確認しましょう。
これがOFFだと、どんなに正しい名前をつけていても左右対称は動作しません。

それでもうまくいかない場合、多くの原因は「ボーンの命名規則」にあります。
この記事では、Blenderのボーンで左右対称(X軸ミラー)ができない時に確認すべき命名ルールをわかりやすく整理しました。
正しい設定を押さえれば、ポーズモードでのミラー操作がスムーズにできるようになります。
Blenderのボーンで左右対称(X軸ミラー)ができない原因は命名規則にある
ポーズモードでX軸ミラーが効かない場合、ほとんどの原因はボーンの命名規則にあります。
Blenderは「位置」や「形」ではなく、ボーンの名前に含まれる文字列を使って左右の対応関係を判断しています。
そのため、たとえ左右対称に配置されたボーンであっても、名前が正しく設定されていなければX軸ミラーは動作しません。
逆に言えば、正しい命名規則さえ守っていれば多少の位置ズレがあっても左右対称の操作は問題なく行えます。
つまり、BlenderのX軸ミラーが動かない時は「命名規則を見直すこと」が最優先なのです。
ボーン名に左右を示す接尾辞や接頭語があるか確認しよう
BlenderでX軸ミラーを使うためには、ボーン名の接尾辞や接頭語に左右を示す文字列が含まれていることが必須条件です。
この「左右の区別」がないと、Blenderは対応するボーンのペアを見つけられず、ミラー操作が働きません。
例えば、右腕のボーンにArm.R
と名前を付けていても、左腕のボーンがただのArm
ではXミラーは機能しません。
左右両方のボーンにLeft/RightまたはL/Rといった識別子を入れる必要があります。
よくある例:
- 正しい →
Arm.L
とArm.R
- 誤り →
Arm
とArm.R
(片方しか識別子がない)
このように、両方のボーン名に明確な左右識別子を付けているかどうかが、X軸ミラー動作の第一歩です。
ボーンの接尾辞や接頭語がX軸ミラーで認識される正しい形式か確認
左右を示す文字列が入っていても、形式が正しくないとBlenderは左右の対応ボーンとして認識しません。
特に、接尾辞(末尾)や接頭語(先頭)の付け方には決まりがあり、それを守らないとX軸ミラーは動作しないので注意が必要です。
Blenderで認識される代表的な形式は以下の2種類です。
- Left/Rightをフルスペルで使う
- L/Rを省略形で使う場合(区切り文字が必須)
例えば、省略系のL/Rを使う場合はBone.L
とBone.R
のように「区切り文字+L/R」で統一されていればXミラーは正常に働きます。
一方で、BoneL
とBoneR
のように区切り文字がない名前では、Blenderは左右のボーンをペアとして認識できません。
つまり、ただ「L」「R」を入れるだけでは不十分で、Blenderが認識できる命名ルールに従うことが重要なのです。
Left/Rightを接尾辞や接頭語に使う場合
BlenderではLeft/Rightを使ったボーン名もX軸ミラーで認識されます。
接尾辞(末尾)・接頭語(先頭)のどちらでも利用可能で、大文字・小文字の区別もありません。
また、Left/Rightの場合は区切り文字は不要となっています。
例えば、以下のような命名パターンはすべて有効です:
Bone_Left
/Bone_Right
Left_Arm
/Right_Arm
left001
/right001
001Left
/001Right
BlenderでLeft/Rightを使ったボーン命名規則の正しい例

これらの命名で設定したボーンは、ポーズモードで X軸ミラーを有効にすれば左右対称に同時操作できます。
(下の動画参照)
L/Rを接尾辞や接頭語に使う場合(区切り文字が必須)
L/Rを使った命名規則はBlenderでもX軸ミラーに対応していますが、区切り文字がないと正しく認識されません。
例えば Bone.L
と Bone.R
のように「ピリオド+L/R」で表記すれば問題なく動作しますが、BoneL
や BoneR
のように区切りがない名前ではXミラーは働きません。
有効な区切り文字の例は以下のとおりです:
_
(アンダースコア).
(ドット)-
(ハイフン)- (スペース)
✅ 正しく動作する命名の例(OKパターン)

以下のようにボーン名に区切り文字を正しく入れていない場合は、X軸ミラーが動作しません。
なお、.
(ドット)のように接頭語(名前の左側)に使うと上手く動かない場合があるので注意が必要です。
❌ 動作しない命名の例(NGパターン)

左右のボーン名は完全に一致しているか?
BlenderでX軸ミラーを使うためには、接尾辞や接頭語を除いた左右のボーン名が完全に同じ状態である必要があります。
片方が 999_R
、もう片方が 001_L
のように名前に違いがあると、Blenderでは左右ペアとして認識できません。
接尾辞や接頭語が正しい形でも、ボーン名が左右で統一されていなければミラー操作は働かないので注意しましょう。

Blenderで左右対称(X軸ミラー)ができない時に確認しても意味がないもの
X軸ミラーが効かない原因の大半は「ボーン名の命名規則」にあります。
そのため、次のような要素をいくら見直してもXミラーが動作するかどうかには関係しません。
これらはミラー操作の不具合とは無関係であることを知っておくと、原因を正しく切り分けやすくなります。
Armatureの原点は左右対称(X軸ミラー)ができない原因にはならない
X軸ミラーが効かないときに「Armatureの原点が中心からズレているからでは?」と考えがちですが、Armatureの原点の位置はXミラーの動作には関係ありません。
原点がどこにあっても、ボーン名の命名規則さえ正しければミラー操作は問題なく機能します。
もちろん、オブジェクト構造として原点はできるだけ中央に置くのが望ましいですが、これはあくまで作業の利便性やリグの整合性のためであり、Xミラーが効くかどうかの条件にはなりません。

原点の位置はX軸ミラーには影響しませんが、オブジェクト構造を整理するために中心へ戻しておきたい場合もあるでしょう。
その際は以下の記事も参考にしてください。
ボーンの位置や左右対称な配置はX軸ミラーができない原因にならない
「ボーンを左右対称に配置していないからX軸ミラーが動かないのでは?」と考えがちですが、ボーンの位置やサイズはXミラーの可否には影響しません。
Blenderはあくまでボーン名の規則をもとに左右を判別しているため、多少ズレていても正しい命名規則さえ守られていればXミラーは動きます。

まとめ|Blenderのボーンで左右対称の操作ができない時は命名規則を最優先で確認
BlenderのポーズモードでX軸ミラーが効かない場合、原因のほとんどはボーン名の命名規則にあります。
左右のボーンが正しくペアとして認識されるかどうかは「位置」や「原点」ではなく、名前の付け方に左右されるからです。
今回解説したポイントを整理すると以下の通りです。
- 左右識別子(Left/Right または L/R)が必須
- L/R(短縮形)の場合は区切り文字を入れる必要あり(例:
Bone.L
/Bone.R
) - 左右でボーン名を完全に一致させる必要がある
- Armatureの原点やボーンの位置はX軸ミラーができない原因ではない
つまり、X軸ミラーがうまくいかない時は、まず「ボーン名の付け方」を見直すのが解決の近道です。
もし「ボーン」ではなく、オブジェクトのミラーができない場合には、原因や確認することが異なります。
その場合はこちらの記事を参考にしてください。
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