Blenderで「Child Of(チャイルド)」コンストレイントを使うと、掴んだ物が思うように動かず位置がずれてしまう… そんな経験はありませんか?
特に「掴む」「投げる」「離す」といったアニメーションでは、Child Ofの設定が重要です。
この記事では、「Child Ofの位置ずれを解消する方法」を徹底解説!
具体的な「掴む→投げる→離すアニメーション」の作り方も、画像とともに分かりやすく説明します。
💡 動画で実際の動きを見たい方は、こちらのYouTube動画でも詳しく解説しています。
動画URL:BlenderのChild Of(チャイルド)の位置ずれ解決!掴んだ物を投げて離すアニメーションの作り方
Blender 4.x系でのアニメーション・キーフレームの打ち方は「キーフレーム挿入時にメニューが出ない?原因と対処法」もあわせてご覧ください。
キーフレームが打てない場合は「Blenderでキーフレームが打てない時に確認すること」もご覧ください。
BlenderのChild Of(チャイルド)の役割と位置ずれの原因・対策
Blenderでアニメーションを作成する際、「Child Of(チャイルド)」コンストレイントは、オブジェクト同士の親子関係を作る便利な機能です。
例えば、キャラクターが武器を持つアニメーションや、掴んだ物を投げる動作などに活用されます。
モディファイアのように、アニメーションの途中でON/OFFを切り替えたり、動きに与える影響値を変更することができます。
ですので「キャラクターが持つコップを持つ、離す」などの、アニメーションの作成時にも便利です。
BlenderでChild Of(チャイルド)の位置ずれが発生する原因とは?
BlenderのChild Of(チャイルド)はオブジェクトコンストレイントとなり、少し癖があります。
ですので、初めて触る方は以下のような位置ずれを体験することも多いです。
- ターゲット設定時にオブジェクトが意図しない座標に移動する
- アニメーションの途中でON/OFFや影響の値を切り替えた時にオブジェクトがズレる
これはChild Of(チャイルド)や、Blenderのオブジェクトコンストレイントの仕様が主な原因となります。
Child Of(チャイルド)で位置ずれが発生する具体例と修正方法
BlenderのChild Of(チャイルド)コンストレイントは便利な反面、ターゲットの座標系の問題や、キーフレームが正しく打たれていない場合に位置ずれが発生しやすいです。
初期設定のミスで位置ずれが発生する理由と解決手順【Set Inverse解説】
Child Of(チャイルド)でターゲットを適用した直後に、オブジェクトが意図しない位置にジャンプすることがあります。
これはターゲットがオブジェクトの原点に変換される為です。
デフォルトでは、ターゲットをペアレントすると、オブジェクトの座標がターゲットのローカル座標を基準にリセットされます。
そこで大事なのが「Set Inverse(逆補正を設定)」です。
これは、ターゲット適用時に位置ずれを防ぐ重要な設定になります。
チャイルドの設定から「逆補正を設定」をクリックすることで、オブジェクトをペアレント化する前の状態(位置)に戻すことができ、ターゲット適用後の位置ずれが解消できます。
これは以下、Blenderの公式マニュアルにも記載されています。
Set Inverse
By default, when you parent your owner to your target, the target becomes the origin of the owner’s space. This means that the location, rotation and scale of the owner are offset by the same properties of the target. In other words, the owner is transformed when you parent it to your target. This might not be desired! So, if you want to restore your owner to its before-parenting state, click on the Set Inverse button.
引用:Blender 4.3 Manual Child Of Constraint
キーフレームの設定ミスによる位置ずれの防止策【ビジュアルトランスフォーム適用方法】
「掴む→投げる→離す」などのアニメーションで、Child Ofが適切に動作しない場合は、キーフレームの打ち方が問題になっている可能性があります。
以下の画像の通り、Child Ofの影響下にあるオブジェクトは見た目上は移動して見えても、オブジェクト自体のトランスフォーム(位置)は移動していません。
ですので、この状態でキーフレームを挿入しても見た目通りの動作にはなりません。


また、Child OfをOFFにしたり、影響の値を0をすると、オブジェクト自体は移動していないので、元の位置に戻ります。
これもオブジェクトの位置がずれて見える原因となります。
この解決策としては、Child Of(チャイルド)コンストレイント適用後のオブジェクトの移動をデータに反映することです。
これは「ビジュアルトランスフォームの適用」を行うことで対応できます。
「ビジュアルトランスフォームの適用」を活用しつつ、キーフレームへの挿入を行うことで、位置ずれのないアニメーションを作成できます。
位置ずれが解消しない場合の最終チェックと対処法
Set Inverse(逆補正の設定)やビジュアルトランスフォームを適用しても解消しない場合は、
- ターゲットの位置を再確認
- オブジェクトの初期位置をキーフレームで固定
これらを試してみてください。
Child Ofを使った掴む・投げる・離すアニメーションの作り方【位置ずれ対策付き】
それではChild Of(チャイルド)コンストレイントを使用して、Blenderで実際に「キャラクターがボールを掴んで投げる」といったアニメーションを作成する例を解説します。
位置ずれを防ぎつつ「掴む→離す→投げる」アニメーションを作ってみましょう。
今回解説に使うモーションは以下のモーションです。
Child Ofを使った掴むアニメーションの作成手順と位置ずれ防止設定
まずはボールを掴むアニメーションを作成しましょう。
手順をまとめると以下の様になります:
- 掴むボールを用意する
- ボールを掴む位置に移動してChild Of(チャイルド)コンストレイントを設定
- ボールの初期位置とChild Of(チャイルド)の影響値(1)をキーフレームに挿入
- ボールを掴む前の影響値(0)をキーフレームに挿入
まずは掴むボールを用意して、初期位置に置きます。

ボールを掴む動作を開始するフレームまで移動し、Child Of(チャイルド)コンストレイントを設定します。
今回は5フレーム目で掴むので5フレーム目に移動後、チャイルドを設定。
右手のボーンをターゲットに設定します。
ターゲットを設定するとボールの位置がずれます。

「逆補正を設定」をクリックして、ボールを元の位置に戻します。

ボールが選択されていることを確認し、ショートカットキーの「I」から「位置・回転」をキーフレーム挿入します。
チャイルドの影響値1もキーフレームに挿入します。
(チャイルドの値は影響の右側にある●をクリックすると挿入されます。)

1つ前のフレームに戻り、影響の値を0にしてキーフレームに挿入します。

ここまでの動きをアニメーションで確認すると以下のようになります。
位置がずれることなく、ちゃんとキャラクターがボールを掴めていますね。
ボールを離すアニメーションをChild Ofで作る方法と位置ずれ修正ポイント
続いてボールを離すアニメーションを作成しましょう。
手順をまとめると以下の様になります:
- ボールを離す手前のフレームに移動
- ボールの位置とチャイルドの影響値(1)をキーフレームに挿入
- ボールを離す位置に移動
- ボールのビジュアルトランスフォームを適用
- チャイルドの影響値を0にする。
- ボールの位置とチャイルドの影響値(0)をキーフレームに挿入
今回は14フレームでボールを離します。
ですので、まず13フレームに移動しましょう。

13フレームに移動したら、ボールの位置・回転をキーフレームに挿入します。

続いて、チャイルドの影響値(1)もキーフレームに挿入します。

次にボールを離す14フレームに移動します。

ボールが選択されていることを確認して、画面上のオブジェクト→適用→ビジュアルトランスフォームを選択します。

オブジェクトコンストレイントが適用されて、ボールが変な位置に消えますが慌てずに。

Child Ofの影響値を0にすると元の位置に戻ってきます。

Child Ofの影響値を0をキーフレームに挿入します。
影響の値は右側のひし形をクリックすると挿入されます。

ボールの位置と回転もキーフレームに挿入します。(重要)
これを忘れるとボールが変な位置に飛んでいきます。

ここまでの動きをアニメーションで確認すると以下のようになります。
位置がずれることなく、狙った位置でキャラクターがボールを離しています。
ボールを投げるアニメーションをChild Ofで作る方法
最後にボールの移動方向を決めればアニメーションの完成です。
ここまできたら、Child Of(チャイルド)コンストレイントは触る必要はありません。
アニメーションの最終フレームに移動します。

ボールが飛んでいく位置を決めます。

ボールの位置と回転をキーフレームに挿入します。

これでボールを掴んで、離して、投げるアニメーションの完成です。
まとめ|Child Ofで位置ずれを防ぎ、Blenderでスムーズなアニメーションを作ろう
Blenderの「Child Of(チャイルド)」コンストレイントを活用すれば、キャラクターがアイテムを掴んで投げるといった動きも簡単に表現できます。
ただし、設定ミスやキーフレームの打ち方によっては、オブジェクトが意図しない位置にズレてしまうことがあります。
今回紹介した「Set Inverse(逆補正の設定)」や「ビジュアルトランスフォーム」を適切に使うことで、この問題を回避できます。
まずは基本の「掴む→投げる→離す」アニメーションを作ってみて、Child Ofの仕組みに慣れていきましょう。
また、位置ずれが解消しない場合は、ターゲットの位置やキーフレームの設定を見直すのも重要です。
この記事の手順を参考に、Blenderで思い通りのアニメーションを作ってくださいね!
さらに詳しい操作を知りたい方は、YouTubeでの解説動画もおすすめです。
動画では実際のアニメーション作成の流れをリアルタイムで確認できますので、ぜひ参考にしてください。
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